河内屋の担い手たち

河内屋の担い手である職人・スタッフをご紹介します。

木田 賢二朗

受け継いだ伝統の技を

磨き高めて次代へ

製造(蒲鉾職人)
木田 賢二朗

1997年生まれ、富山県入善町出身。5人きょうだいの二男坊。
高校卒業後、河内屋に入社。職人として製造に携わる。現在、練り上げた魚肉に塩などを加えて弾力を出す工程「擂潰(らいかい)」と富山の蒲鉾の特徴である「細工」を担当。

1日の仕事の流れは、朝は他のスタッフよりも早く出勤し、まずは擂潰(らいかい=すり身の練り上げと調味)作業に取り掛かります。そのあとは、蒲鉾の細工に取り組みます。特に「祝」の字の絞り出しは、私だけが受け持つ業務です。おめでたい場に華を添えるものとして、字体や全体のバランスに気を配り、丁寧に心をこめて書いています。
今、力を入れているのは、全国蒲鉾品評会(主催:全国かまぼこ連合会)の細工蒲鉾部門に出品する作品です。富山湾のブリをイメージした色味のドラゴンが海から現れた図案を考えました。サイズが大きいので、毎日少しずつ仕上げています。
この作品は、品評会で賞を取ることが目標ですが、私は店頭に展示した際、「これが蒲鉾!?」と驚いてもらえるものを作りたいです。この作品をきっかけに、写真やイラストを蒲鉾で再現する「オリジナル蒲鉾」など、 蒲鉾の楽しさや可能性を広く知ってもらえたらと思っています。

一番好きな業務は、なんといっても細工です。例え「給料なし」と言われても、ずっと細工をしていたいぐらい大好きです。
驚かれるかもしれませんが、当社の細工蒲鉾は全て手作業で生み出されています。例えば、雪だるまの蒲鉾は、アイスクリームディッシャーで調味したすり身をすくって雪だるま本体を形作り、その上に蒲鉾の皮で作ったパーツを手で一つ一つ乗せていきます。ほかの細工蒲鉾も同様です。
細工には毎日、何かしらの発見があります。ある模様の付け方を別の表現にも応用できないかといったことも日々考えています。細工蒲鉾を作るようになってから、身の回りのものの構造や模様の付け方、文字のフォントなどがすごく気になるようになりました。

実は、就職活動するまで、河内屋のことを知りませんでした。食べることが好きだったので食品関係の工場で働きたいと漠然と考えていただけでした。
河内屋の工場を見学した時、蒲鉾を「人の手で作っている」という印象を強く受けました。
子供の頃からプラモデルなどのものづくりが好きだった私は、「ここで働きたい」「細工をやってみたい」と、もうワクワクしていました。
それから、試食させてもらった揚げたての蒲鉾が本当に美味しかったんです。河内屋の蒲鉾は弾力があって、モチモチした食感がたまりません。すり身は上質のものを使っていて、味付けも絶妙です。できたての蒲鉾の試食は、今も楽しみなんですよ。

富山県の地場産業が将来どうなるのかと不安視する声もありますが、私はそれほど危機感を感じてはいません。
というのは、富山は若い世代にとっても住みやすいところだと感じていますし、河内屋には若いスタッフもたくさんいます。
普段はそれぞれ淡々と作業していますが、ベテランと若手、ベトナムなど外国からの実習生も協力しあい、分からないことを教えあえる環境があります。
私は今、受け継いだ蒲鉾作りの伝統の技をしっかりと磨くことに努め、後に続く人たちに伝えられるようになることを目指しています。若い世代の職人が増え、ライバルと切磋琢磨しながら、技術を高めていけたらいいですね。
夢ですか?やっぱり「世界一の蒲鉾職人」です。

原田 綾奈

大好きな河内屋の蒲鉾と

富山の魅力を伝えたい

魚津本店(販売)
原田 綾奈

1997年生まれ、富山県魚津市出身。高校卒業後、河内屋に入社。河内屋魚津本店で接客や販売業務を担当。
SNSなどでの情報発信もできるようになりたいと、最近は自社と商品、富山に関する知識向上に特に力を入れている。

子供の頃から、蒲鉾が大好きでした。祖母がおやつに蒲鉾をよく出してくれたことを覚えています。中学2年生の時、富山県の職業体験「14歳の挑戦」で河内屋にお世話になり、蒲鉾作りを体験させてもらいました。その時、味見させてもらった蒲鉾の美味しかったこと!河内屋は「美味しい蒲鉾の店」として、私の心に残ることとなりました。
高校生になる頃には魚やお米など、富山の食べ物の美味しさに気づき、美味しいお店の食べ歩きなど、食べることが好きになっていました。
そんな時、高校の求人募集に河内屋の販売職を見つけました。

高校在学中に接客のアルバイトを通じて「お客さまに喜んでいただくと自分も嬉しい」ことは経験済みだったため、接客業務に抵抗感はありません。また、平日にも休める仕事、シフト勤務の仕事が働きやすいのではないかと考えていました。さらに、高校卒業後は、地元・魚津市で就職したいと思っていました。
就職先の条件にぴったりだった河内屋を見学した時、印象に残っているのは本店のショーケースに並んだ蒲鉾の美しさです。贈答品ならではの華やかな商品、食べやすさを工夫した商品などが並び、蒲鉾が輝いて見えました。

現在は、魚津本店での接客・販売の他、通信販売や電話注文の対応や商品の梱包作業などを担当しています。
接客時に心がけていることは、お客さまが何を求めていらっしゃるかを瞬時に察することです。この点は先輩方から学ぶことばかりですが、最近は学んだことを少しずつ活かせるようになってきた気がします。

魚津本店は、地元のお客さまが多くいらっしゃいます。結婚式の蒲鉾をご注文された後、お子さんが生まれて内祝いのご注文をいただいたことがあります。県外に進学されたお孫さんに蒲鉾を送りたいとおっしゃるお客さまに、若い世代に人気の商品をお勧めすることもあります。
私たちの仕事は、お客さまの人生に寄り添う仕事です。そこにやりがいを感じています。

工場に勤めていると、お客さまの声を聞く機会はなかなかありませんが、私たちはお客さまからダイレクトに「ありがとう」と言っていただけます。
オリジナル蒲鉾のご注文に職人の皆さんと連携しながら、お客さまの想いをしっかり形にできたときや、県外のお客さまから電話でいただいた要望にお答えできたときなどに「ありがとう」の言葉が返ってくると、「やっていてよかった」と嬉しくなります。

また、観光客の方や県外の方と接する機会が多いので、富山県の魅力をお伝えすることも、地場産業に関わるものとして、大切な役割だと感じています。
県外のことを知らないと富山の良さも分からないと考え、旅行などの際には土産コーナーをチェックし、その土地の蒲鉾はいただくようにしています。どこの蒲鉾が好きかというと……もちろん河内屋です!自信を持って断言します。
河内屋の蒲鉾は美味しくて綺麗です。ホームページやSNSの情報も充実していて、個人的には1番分かりやすいと思います。私自身が、ずっと河内屋の蒲鉾のファンなんです。

佐々木 健二

金沢から全国へ

河内屋の魅力を発信中

金沢百番街店(店長)
佐々木 健二

1981年生まれ、北海道江別市出身。
前職は、全国展開するホテルチェーンの管理職。転勤で滞在した金沢の街に魅了され、移住を決意。河内屋に入社し7年目。金沢百番街店の店長として5人のスタッフをまとめ、金沢百番街店の好調を支えている。

金沢駅の改札すぐ横にあるショッピングモール「金沢百番街」は、金沢市の名だたる観光スポットの中でも、トップクラスの客数を誇ります。また、JRの発着時間に合わせて、お急ぎのお客さまも多く、混み合う時は大変な人の波が押し寄せます。
一日中立ち仕事でハードな面もありますが、金沢で最も忙しい土産処であるこの場所で、いい店舗づくりができているという自負と充実感があります。

金沢でも「富山の蒲鉾」の評判は高く、私も味には絶対の自信があるため、「富山」を前面に出して販売しています。商品のラインナップは、河内屋の他店と同じですが、「鮨蒲」のノドグロを乗せたものは金沢店から生まれ、今も一番人気の商品です。
河内屋の蒲鉾の魅力は、上質な原料からしか作れない味の良さと食感や歯ごたえ、そして保存料を使っていない点です。職人が丁寧に仕上げた蒲鉾への思いを店頭でもしっかり繋ぐのが、私たちの務めです。また、金沢で河内屋の評判を上げることで、全国的な知名度の向上に繋げていければと考えています。

金沢百番街店のお客さまは、観光や出張の方が7割近くいらっしゃいます。お客さまに対しては、常に「お客さまファースト」を心がけ、手荷物が多い時にはおまとめするなど、できる限り快適に過ごしてくださるようサービスを提供しています。
お客さまは、しっかりとおもてなしすれば必ず答えてくださいます。中には、年1回の金沢来訪時に「元気にしている?」と毎回必ず立ち寄ってくださる方もいらっしゃいます。 そうしたお客さまとの関わりと交流が接客の面白さであり、良い接客ができれば売上の数字も自然についてきます。
そこで金沢店のスタッフには、お客さまが自分の対応で笑顔になる喜びを感じられるよう、ホテルレベルのサービススキルを身につけてもらうことを心がけています。接客スキルはどんな仕事にも活かすことができ、プライベートにも良い影響を与える一生もののスキルです。どこにいってもやっていける実力をつけてほしいと思います。

前職のホテル勤務中は、全国のいろいろな街に住みました。中でも金沢は、京都に似た和の風情あふれる街並みに心惹かれ、移住を希望するまでになりました。2年間ほどの勤務中に友人もでき、金沢の人たちの人柄の良さも魅力でした。
仕事を探す中で出会ったのが、北陸新幹線の開業を目標に20年以上前から金沢に展開していた河内屋の募集です。社長との面接では3時間近く話し合い、その場で採用の決定をいただきました。私も社長の人柄に触れ、これまでの経験を活かして力になりたいと感じ、その場で入社を決めました。

それから7年。今も観光気分で金沢の街を満喫しています。特に寺社仏閣が好きで、休みの日には散策して、写真を撮るのが楽しみです。東山にある宇多須神社が1番好きな場所になりました。金沢の食べ物も口に合い、地物のガスエビや甘エビなどは仲間たちと一緒によくいただきます。金沢で初めて食べたサワラは、マグロより美味しいくらいで驚きました。
今から振り返っても、金沢に来て本当に良かったと思います。これからも、この大好きな金沢の街から、河内屋を盛り立てていきます。