河内屋社長ブログ蒲鉾丹右衛門の徒然なるままに…

2009.08.04

原料事情

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珍しく日本経済新聞に、蒲鉾業界の記事が比較的大きく出ていました。読まれた方も多いと思います。タイトルは「練り製品各社 苦悩」…本当に暗くなってしまうタイトルですね(^^;)。

内容は、原料すり身価格が急落し、それを理由に量販店が大幅な値下げを要求しているという事。それと、すり身減産により秋以降の原料調達が不安であるという事。

確かに業界全体をひとくくりに話すと、こういった表現になるのかもしれません。しかし実態は、原料であるすり身は2極化していて、低級品の価格は昨年に比べると急落していますが、上級品の価格は高止まりしているというのが現実です。また、記事にあるように欧州などでフィレ(3枚おろし)の需要が大変高く、かつては原料魚のスケソウダラは、その大半がすり身となって日本にやって来たのですが、今では当時の間逆の状態となってしまい、せっかく魚が獲れても蒲鉾の原材料であるすり身にはならず、大半がフィレになってしまうという現実があります。蒲鉾業界としては本当に困った状態であることには間違いありません。しかし、すり身が全く出来ないという訳ではなく、このフィレを作っている時には生産工程上、副産物として下級品のすり身が出来るので、フィレがたくさん出来るという事は、すり身の下級品もたくさん出来るという事です。

安い商品を作るにはこういう原材料を使うしかありませんから、確かに使えば原価は下がる、売価も下がるという構図になりますが、味や品質も落ちるという事もセットになります。

量販店で安く売っている…というか売れるには訳がある訳です。そういう商品を作る事が良い事なのか?悪い事なのか?という事は、各社考えが違いますし、それぞれの企業の生き方、考え方、そこで働く関係者全ての生活がかかっているので、簡単に決め付けるような事は言えません。

ただ、河内屋としては上級品にとことんこだわり、今までと同じように、今後も良い蒲鉾を作って行きたいと思っています。上級品の調達は秋以降確かに不安ですが、大手のように大量に使用している訳ではないので、何とかなると思っています。