河内屋社長ブログ蒲鉾丹右衛門の徒然なるままに…

2026.05.11

棒Sの履歴書 #5〜「開けにくい問題」との戦いと、美しくなった棒Sの完成形。

  • twitter
  • LINEで送る

前回書いた「開封しにくい、食べにくい」というお客様の声。

これを根本から解決するために、まずは棒Sの製造工程を改めて振り返ってみます。

当時の河内屋のスティック蒲鉾、つまり棒Sは、食品業界では広く普及している「ピロー包装機」を使って包装し、その後の真空工程で真空していました。

ピロー包装は汎用性が高く、コスト面でも優れた包装方法です。しかしこの包装方式の場合、どうしても商品の外側に余分なフィルム部分が生まれてしまう。

正直に言うと確かに開けにくかったんです。

今思うと見栄えも良くなかった。

しかもこの余分なフィルム部分は、お客様が開けにくいというだけではなく、工場サイドにとっても悩みの種でした。スティック状の蒲鉾を容器の中に収める作業において、このフィルムの余白が邪魔になって非常に手間がかかっていたのです。

問題は分かっていました。

しかし「ピロー包装機しかない以上、根本的な解決策はない」というのもまた現実でした。

実はフィルムの材質を変更して少しでも開けやすくする工夫は以前から取り組んでいましたが、なかなかお客様には伝わらない。棒Sの出荷量が増えれば増えるほど、その声も比例して大きくなってくる。

「これはもう、向き合うしかない。」

信頼している商社の担当者に来てもらい、費用はさておきまずは設備導入の可能性を探ることにしました。

根本的な解決策は一つ。「深絞り自動真空包装機」という設備の導入です。

国産・海外問わず各メーカーの設備を調べましたが、能力的な要件はクリアできても、どれも設備が大きすぎて手狭な工場内に設置できないという壁に何度もぶつかりました。しかもこの設備、2,000万円以上する高価なものです。

それでも諦めずに検討を続けていると、あるメーカーから「既存設備を少し移動すれば設置できます」という提案が出てきました。

図面上でも設置可能であることは確認できました。

「やるしかない。」

そう腹が決まった瞬間でした。

設備導入を前提に、次に動いたのは工場長でした。棒Sの製造工程に必要な条件を満たすフィルムの包装テストをするため、琵琶湖近くにある大手樹脂メーカーへ行ってもらったのです。いくつかの包装テストを重ねた中で、我々が求める全ての条件をクリアするフィルム材質を見つけることができました。


私が一番こだわったのは、そもそもの問題の原点である「お客様が封を開けやすいか?」という点です。

数えきれないサンプルを製造して子供からシニアの方まで、何人もの方に実際に手で開けてもらい、その様子を確認しました。

最終的な仕上がりは、感動するほど素晴らしかった。

開けやすいことはもちろんですが、とにかく商品が美しい。深絞り包装になったことで、余分なフィルムがなく、容器の中でスティック状の蒲鉾がきれいに収まり、中身がクリアで美しく見える。

結果として、棒Sの商品価値そのものがアップしていました。

実際に「深絞り自動真空包装機」を導入してからというもの、棒Sはさらに動くようになっていきました。数字がそれを証明してくれていました。

棒Sはついに理想的な姿になったのです!

私の頭の中は既にモノマネ商品への恨みや怒りは完全に消え去り、棒Sの営業強化、攻めることしか考えていませんでした。明るい未来しか見えていなかったのです。

そんな矢先でした。

工場長から「新たな問題が起きています」という報告が来たのは…。

次回「棒Sの履歴書 #6」では、工場長からの報告である新たな危機について書こうと思います。