2026.05.12
棒Sの履歴書 #6~生産能力の限界と、六角形が救った棒Sの奇跡。

前回「棒Sの履歴書 #5」では、「深絞り自動真空包装機」の導入によって、棒Sがついに理想的な姿になった話を書きました。
「設備を導入した」とサラッと書きましたが、実はその導入プロセス自体が、一筋縄ではいかない大変な道のりでした。
既存設備の移動から始まり、新設備を受け入れるための工場内の整備、前工程・後工程の調整…。クリアしなければならないことが、次から次へと出てきました。
工場長と、長年付き合いのある商社の担当者と、私の三人でメーカーの工場(埼玉県)にも足を運び、機械の仕様の確認、最終的な製品の仕上がりチェック、生産効率の検証まで、とにかく新設備の導入に集中しました。


設備の搬入、設置、通電、試運転、そして本稼働。
短い期間の中で、工場長をはじめ工場スタッフ、そして外部関係者の皆さんが本当によく頑張ってくれたと思います。
その甲斐あって、棒Sの付加価値は確実に上がり、出荷数も伸び続けていました。これからはもう全て順調に行く。そう思っていました。
そんな時でした。
工場長から新たな報告と相談が上がってきたのです。
「棒Sの出荷が順調に伸びています。このまま行けば工場の生産能力を確実に超えます…」
言われてみれば、確かにそうでした。
攻めることばかりに気を取られて、足元の状況が見えていなかったのです。
製造から出荷まで、工場は棒Sの生産に追われる日々が続いていました。中でも特に追い詰められていたのが、出荷部門でした。
今振り返ると信じられないのですが、棒Sのあの特殊な容器は、筒状の透明容器が工場に納品され、外装の印刷部分はシールを手貼りするという、全て手作業での仕上げだったんです。
そんな中で、出荷チームが本当によくやってくれていたと思います。手先の器用な女性陣が、毎日黙々と頑張ってくれていました。


さらに追い打ちをかけるように、棒Sの売れ行きが伸びるにつれ透明容器の在庫スペースまで不足してきた。
これをクリアしないと、工場が本当に回らなくなる。正直、そこまで追い詰められていました。
悩んでいた時に、長年付き合いのある取引業者の一人が助け舟を出してくれました。
「容器の形を丸型から六角形に変更し組立タイプにし、シールで貼っていたデザイン部分を直接印刷する」
という、大胆な提案でした。
ただ、これは当然デザインにも影響します。すぐにキギさんに相談しました。
キギさんは丸形にこだわりがあり、「八角形なら」という話はあったものの、六角形については当初難色を示していました。それはキギさんの美学として、当然のことだったと思います。
しかし、私は現状と未来を包み隠さず真剣に話しました。
そしてキギさんが動いてくれました。
完成したのは、六角形バージョンの素晴らしいデザイン。
一つの変更が、抱えていた問題を一気に解決してくれたのです。
次回「棒Sの履歴書 #7」では、その後の棒Sの飛躍について書きたいと思います。



