2026.08.07
すり身の一大産地へ。業界最大の危機のさなかに、私はそこに立っていた。

無事に、8月5日に帰国しました。
念願だったダッチハーバー視察の旅から、先日ようやく戻って参りました。まずは、ご報告まで。
さて、そもそも私は、なぜはるばるベーリング海のダッチハーバーまで行って来たのか。
今回の視察は、全国蒲鉾品評会で「アメリカ大使館アラスカシーフード賞」を受賞した歴代4社を対象に、ASMI(アラスカシーフードマーケティング協会)様が企画してくださったものです。
アラスカ産スケソウダラすり身への理解を深め、その価値を改めて認識し、再定義する。
そうして、日本のかまぼこ業界全体のさらなる発展につなげていく…そんな目的のもと、私もその一員として参加させていただきました。
河内屋も2023年にこの賞をいただいた1社です。こんな貴重な機会をいただいたことに、心から感謝しています。
ところで、ダッチハーバーとは、いったいどんな場所なのか。
もともとはオランダ船が最初に入港したことから「オランダ人の港」と名付けられた土地で、今も米軍の基地があります。第二次大戦中には、日本軍がここを攻撃したという歴史も持つ場所です。

人口は4,000〜5,000人ほど。ただ季節変動が激しく、漁のピーク時には季節労働者が大勢やって来て、1万人を超えることもあるのだとか。日本人は、大手水産会社2社の10人ほどしか滞在していないと聞きました。まさに、秘境です。
それでいて、世界に良質な白身魚の加工品を供給する、世界の水産基地でもある。私たち蒲鉾業界が使う冷凍すり身の、最大の拠点でもあるのです。
今でこそ、すり身工場は世界各地にあります。それでも、スケソウダラをメインに使い続けて来た私にとって、ダッチハーバーは「いつかはこの目で」と思い続けていた、特別な場所でした。とはいえ、何しろ最果ての地。そうそう行ける場所ではありません。
アンカレッジからの道のりで苦労した話は前回書いた通りですが、1日のうちの気候変動が、とにかく激しい。それを、身をもって実感しました。
ですが、海は凪いでいました。

工場や建屋は、島の入り組んだ湾の奥にあります。ですから、ディスカバリーチャンネルの「ベーリング海の一攫千金」で観るような、あの荒々しい世界観とはまるで違う。物静かで、吸い込まれそうなほど濃い、深い海の色をしていました。
そして、自然の豊かさにも驚かされました。空を見上げれば、白頭鷲(ハクトウワシ)が当たり前のように飛んでいる。海に目をやれば、ラッコが普通に泳いでいる。日本ではなかなかお目にかかれない光景が、ここでは日常なのです。
今回は、悪天候の遅れを取り戻すため、島の観光はすべて中止。過密スケジュールでの視察となりました。

そして、帰国した翌日のことです。
8月6日の日本経済新聞に、こんな記事が載っていました。エルニーニョによる南米の不漁、円安、中東情勢に伴う燃料高…。それらが連鎖して、すり身も魚粉も世界的に高騰している。おせちやおでんの価格にも影響が出そうだ、という内容です。
まさにその原料の産地を、この業界の危機のさなかに訪ねていたわけです。
タイミングが良すぎて、少し出来すぎなくらい。やはり今回の旅には、何かに導かれるような巡り合わせを感じずにはいられません。
視察の中身については、また次回以降に。




