2026.08.21
長い旅の終わりにアメリカン・シーフーズ社の本社へ。全ては繋がっていた。

ダッチハーバーでの視察を終え、波乱の帰路を経てたどり着いたシアトル。この街で、今回の旅の、いわば総仕上げともいえる訪問先が待っていました。
アメリカン・シーフーズ社の、本社です。
河内屋は、長年にわたって、このアメリカン・シーフーズ社のSAを使わせていただいてきました。いわば、私たちの商品を根っこで支えてくれている、大切なパートナーです。その本社へ、こうしてご挨拶に伺えるというのは、なんとも感慨深いものがあります。
Google MAPを頼りに、ビルを探して向かいます。場所は、なんとパイクプレイス・マーケットのすぐ近く。とても便利の良い立地です。
到着したのは「Market Place Tower」。

ところが、さすがはアメリカを代表する水産企業の本社が入るビル、セキュリティが厳重で、そう簡単には中に入れません。そこで、アメリカン・シーフーズ・ジャパン社長の矢寺秀介さんが、わざわざ1階の入口まで迎えに来てくださいました。矢寺さんには、ダッチハーバーで工船を視察させていただいた際にも、大変お世話になっています。今回、あの工船2隻を見ることができたのも、矢寺さんのご協力あってこそでした。
ビルに入ると、1階からしてシックで、素敵な空間です。エレベーターまで広くてきれい。私はもう、完全にお上りさん状態で、キョロキョロしながらの訪問となりました(笑)。

オフィスに足を踏み入れると、受付の女性が、笑顔で迎え入れてくださいました。それにしても、照明から家具に至るまで、何もかもが洗練されていて、実におしゃれ。こんなオフィスで働いてみたいものです(笑)。
各部屋や会議室など、あちこちを案内していただきました。オフィスは、まさに映画に出てくる、あの感じ。パーテーションで区切られていて、役職が上がれば上がるほど個室になり、その広さも増していく。ある意味、実に分かりやすい。誰が偉いのか、ひと目で分かるというわけです(笑)。
オフィスのあちらこちらに、自社が所有する工船の模型がさりげなく置いてあるのも、なんとも「にくい」演出です。
そして、私が一番驚いたもの。それは、何気なく置かれた一台のモニターでした。

その画面には、あのアリエスカ工場の指令室で見た、ベーリング海の地図と、三角のマークが映し出されていたのです。
三角のマークは、アメリカン・シーフーズ社が所有する工船の、リアルタイムの位置を示していました。見慣れたアメリカン・トライアンフ号(AMERICAN TRIUMPH)や、アメリカン・ダイナスティ号(AMERICAN DYNASTY)が、ベーリング海でまさに操業している。そして、つい2日前にダッチハーバーで見たばかりのノーザン・ジェーガー号が、一直線の航路を描いて、トライアンフ号やダイナスティ号の操業する海域へと移動していく様子が、はっきりと見て取れました。
現地であの空気を、肌で感じてきたばかりです。ですから、私にとって、そのモニターから伝わってくる臨場感は、格別のものでした。単なる画面上の三角マークではないのです。あの船の甲板に立ち、船長の話を聞き、働く皆さんの表情を見てきた。だからこそ、その一つひとつのマークに、船長や、乗組員の皆さんの顔までもが、ありありと浮かんできたのです。
アメリカン・エンプレスⅡ号(AMERICAN EMPRESS Ⅱ)は、シアトル沖で操業しているようでした。パシフィックホワイティング(ヘイク)でも獲っているのだろうか…などと、私は画面を眺めながら、一人勝手に想像をふくらませていました。
ちなみに、アメリカン・シーフーズ社が所有する船は、全部で7隻。そのうち5隻がスケソウダラ(ポラック)を、1隻がヘイクを、そして残る1隻がマダラおよび黄金カレイを獲っているのだそうです。

この日は、最高商務責任者(CCO)のラスムス・ソーレンセンさんにも、ご挨拶することができました。社長のインゲさんは、あいにく外出中でお会いできませんでしたが、せっかくなので、社長室のドアだけ、しっかり写真に収めてまいりました(笑)。
そんなふうに、あれこれと会話、意見交換をしながら案内していただくうち、オフィスのバルコニーへと通されました。
そして、そこから見えた景色に、私は思わず息をのみました。昨日、自分の足で歩き回ったシアトルの街並み。そして、遊覧船に乗って眺めた、あのエリオット湾。その全体を、ここから一望できるのです。なんという眺めでしょう。すっかり感動してしまいました。
この素晴らしい景色を背に、記念の写真も撮らせていただきました。

その後は、途中で合流したASMIチームの皆さんと、パイクプレイス・マーケットへ繰り出して、軽くお疲れ様会となりました。
つまみは、スケソウダラのフライ。これが、本当に美味しい。まさに、世界中で人気のフィレです。すり身を生業とする私としては、少々複雑な気持ちもありますが(笑)、それはそれ。素直に、美味しくいただきました。
さて、帰りはGrab(配車アプリ)でホテルまで、とも思ったのですが……この日の歩数が、まだ1万歩に足りていません。そこで、シアトルの街を散策がてら、レイク・ユニオン(Lake Union)沿いのホテルまで、歩いて帰ることにしました。
レイク・ユニオン(Lake Union)に到着してから少し周囲を散策して驚いたことがあります。なんと、水上飛行機で通勤している人がいるのです。アンカレッジでもそんな光景を見ましたがいやはや、本当に凄いものですね。
思えば、不思議な旅でした。ベーリング海で見た船。工場で出会った人たち。そして、私たち河内屋が長年使わせていただいてきた、あのすり身。バラバラの点のように思えていたものが、この本社を訪ねて、一本の線でつながった。そんな気がしたのです。
スケソウダラという一匹の魚が、遠いベーリング海から、この富山・魚津の蒲鉾になるまで。その長い道のりの、一つひとつが、確かに繋がっている。それを、この目と足で確かめられた旅でした。
こうして、ダッチハーバーからシアトルまで、本当に濃密だった今回の旅も、いよいよ終わりに近づいてきたのでした。

ASMIの皆さんも駆けつけてくれた!ありがとうございました。
窓からは普通にスペースニードルが見える!

社長のインゲさんの部屋も記念に撮影(笑)。

オフィスのバルコニーからの眺め。パイクプレイス・マーケットにピア、観覧車、T-Mobile Park、そしてウォーターフロント。昨日ブラブラ歩き回ったシアトルの街が、ぜんぶここから見えるのです。遊覧船で巡ったエリオット湾も一望。思わず息をのむ、素晴らしい展望でした。

ちなみに私が昨日乗った遊覧船アーゴシー・クルーズ(Argosy Cruises)も見えました(笑)。

オフィスに飾られていた、アメリカン・シーフーズ社の工船がずらりと並んだ圧巻の写真。そして、一面の流氷を進む工船の一枚。私が訪れたのは白夜の夏でしたが、冬のベーリング海は、こんなにも厳しく、こんなにも美しい。この圧巻の光景を目に焼き付けて、オフィスを後にしました。


オフィスを後にして、パイクプレイス・マーケットをブラブラ。ASMIのスタッフ、そして矢寺社長とご一緒に、老舗の「The Athenian Seafood Restaurant and Bar」へ。旅の締めくくりの反省会?ここで食べたスケソウダラのフィレのフライが、これがもう最高に美味しい…ただ、「すり身を作ってほしい」と願い続けてきた身としては、なんとも複雑な気持ちでもあるのでした(笑)。


解散して、帰り間際。パイクプレイス・マーケットのあたりから見上げた、Market Place Tower…さっきまで私が立っていたバルコニーは、ちょうどあのあたりだ。

ホテルへの帰り道、レイク・ユニオンのほとりで見かけたGoogleのオフィス。このあたり(サウス・レイク・ユニオン)は、名だたるテック企業が集まる地区なのだそうです。水産の街として歩いてきたシアトルに、こんな最先端の顔もある。歩いてみて初めて分かる、街の奥行きでした。



