河内屋社長ブログ蒲鉾丹右衛門の徒然なるままに…

2026.10.24

見る角度を変えれば、すり身の新しい価値が見えてくる!DIAASの講演を聞いて徒然なるままに。

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10月14日、東京で開かれた日本かまぼこ協会の東日本ブロック会議で「アラスカ研修視察報告」をしてきたことは、先日のブログでお伝えしました。

実はその日、東京海洋大学の石崎松一郎教授による「魚肉たんぱくの健康機能について」の講演も聴講させていただきました。講演を聞きながら、「蒲鉾の魅力って、まだまだあるんだな…」と、正直言って嬉しくなりました(笑)。

講演の中心は「DIAAS(ディアス)」という、たんぱく質の質をはかる新しい物差しの話でした。

これまでよく使われてきた「アミノ酸スコア」は、食品に必須アミノ酸がどれだけ含まれているかを見る指標です。肉も魚も卵も牛乳も、多くの食品が「100」で横並びになり、違いが見えにくいという面が確かにありました。

それに対してDIAASは、食べたあとに実際にどれだけ消化・吸収されたかで評価します。2013年にFAO(国連食糧農業機関)が提唱したもので、いま栄養学の大きなトレンドになっているそうです。

この物差しで見ると、かまぼこが1.28、すり身が1.26。紹介されたデータの中で、最も高い数値でした!蒲鉾屋としては、本当に嬉しい数字です。

DIAASでかまぼこは1.28と、牛乳・卵・鶏むね肉と並ぶトップクラスのたんぱく質

アミノ酸スコアでは横並びだったすり身が、角度を変えて見ると、まったく違う顔を見せる。

見る角度、アプローチを変えれば、今までとは違ったすり身の魅力、新たな価値が見えてくる。

これが、今回の講演で私が一番グッときたところです。

なお、DIAASの詳しい解説は、河内屋ブログにまとめています。よろしければこちらもご覧ください。
→https://www.kamaboko.co.jp/contents/staff_blog/15786/

講演のあとの質疑応答では、フジミツの藤田社長と石崎教授の間で活発な意見交換がありました。

藤田社長が触れたのは、すり身の安定調達がどんどん厳しくなっているという現実です。すり身が持つ価値をきちんとつくっていかないと、フィレとの競争は厳しい。だから、フィレとすり身でDIAASに違いはあるのか、という鋭い質問でした。

石崎教授の答えは、「直接比較したデータはまだない」というものでした。そのうえで、脂を取りのぞく工程や、たんぱく質がいったん溶け出して表面積が広がる製造工程の特性から、すり身のほうが吸収されやすいと推測される、とのことでした。

分からないことは分からないとはっきり言い、そのうえで根拠を示す。研究者としての誠実さを感じるやりとりで、大変勉強になりました。

藤田社長の質問の背景には、いま業界が直面している原料の問題があります。

大西洋のマダラが減り、欧州ではフィッシュフライの原料として、スケソウダラのフィレの需要が増えています。その結果、米国やロシアでは同じスケソウダラからすり身ではなくフィレをつくる流れが強まり、すり身の生産がフィレに押されている状況です。

原料が限られる時代だからこそ、すり身にしかない価値を、きちんと伝えていかなければならない。DIAASは、その大きな武器になると感じました。

講演を聞きながら、ふと30年以上前のことを思い出しました。

私は理系出身で、自動車メーカーで働いたあと、この蒲鉾業界に入りました。初めて工場で蒲鉾づくりを見たとき、「練り製品って、化学だな」と思ったのを覚えています。

白身魚の身を荒摺り、塩摺りと丁寧に練り上げていくと、ねばりのあるすり身が出来上がる。それを加熱すると、ぷりぷりの白い蒲鉾になる。白身魚が、まったく別の物性となって生まれ変わる。本当に不思議で、面白い世界だと思いました。

河内屋は冷凍すり身を使っているので、今では自社の工場で水さらしをすることはありません。でも、すり身ができるまでの工程には、血合いや脂分を取りのぞく水さらしが間違いなくあります。

化学という言葉もなかった時代に、先人たちは経験と工夫だけで、この技術を編み出しました。その工程の中に、現代の栄養学で見直される秘密があった。やっぱり、先人たちが考えた技術は本当にすごいです。

日本かまぼこ協会には、魚肉たんぱく質を一定量以上含む製品を認定する「フィッシュプロテインマーク」という制度があります。

実は河内屋の昆布巻や赤巻なども、この認定を受けています。フィルム(包装)にマークは印刷していないのですが、中身はしっかり認定品です。

講演後の懇親会では、石崎教授と名刺交換をさせていただきました。

お話をしていて感じたのは、本当に練り業界の応援団のような方だということです。今後の研究に、大いに期待しています!

蒲鉾は、伝統ある古いジャンルの食品かもしれません。でも同時に、現代の私たちに必要な食品でもあります。

全国各地で、姿や形を変えながら練り物が根づいています。富山の「昆布巻かまぼこ」や「赤巻かまぼこ」も、富山県民のソウルフードです!姿や形は違っても、そのどれもが同じすり身から生まれています。

見る角度を変えれば、蒲鉾にはまだまだ新しい価値が眠っているのかもしれません。

伝統の味として、そして現代の食卓に必要なたんぱく源として。ぜひ食べて欲しいです!