河内屋社長ブログ蒲鉾丹右衛門の徒然なるままに…

2026.08.12

ベーリング海に浮かぶ工場、母船「エクセレンス号」に乗り込んだ!

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ユニシー社さんの工場見学を終えた私たちは、そのまま次の視察へと移動しました。ちなみに、この時点でまだホテルへのチェックインは済ませていません(笑)。

陸路を走りながら、ダッチハーバー独特の、山というか小高い丘が連なる景色、そして凪いだ海を見つめます。「ああ、自分は今、本当にダッチハーバーにいるんだな…」というそんな実感を噛みしめながらの移動でした。

すると、前方に大きな船体が見えてきました。

スケソウダラを海の上で加工処理する、大型の船です。

加工船そのものを目にするのは、以前、釜山でロシアの大手水産企業ギドロストロイ・ホールディングが所有する「アレクサンドル・コサレフ号」を遠目に見て以来のこと。しかし、こんなに近くで見るのは初めてですし、もちろん船内を視察させていただくなど、生まれて初めての体験です。

ここで少し、ベーリング海のスケソウダラの加工方法について整理しておきます。

大きく分けると、洋上と陸上の2つになります。

洋上には、さらに2種類あります。ひとつは「母船」。スケソウダラを実際に獲るキャッチャーボートと組み、魚が獲れるポイントに停泊して、獲ってきた魚をその場で受け入れて加工する船です。もうひとつは「工船」。こちらは自ら漁をして、船内で加工まで行う船です。そして3つめが、先ほど見てきた陸上の工場です。

洋上加工の利点は、魚を獲ってすぐに加工へ回せるため、より高い鮮度感が期待できること。魚のいる場所へ工場そのものが移動していくイメージで、非常に効率が良いのです。もちろん、これは陸上工場の鮮度が悪い、効率が悪いという意味では決してありません。あくまでベーリング海の加工は、現実的にこう分けられる、というお話です。

さて、スケソウダラをフィレやすり身に加工する工程は、洋上も陸上も基本的には同じです。

つまり、前回ユニシー社さんで見た機械や工程が、まるごと船の中に、所狭しと配置されているということ。普通の人なら、一度入ったら出てこられなくなるほどの迷路状態です。配管も配線も、上に下に横にと、ありとあらゆる場所に計算し尽くして配置されている。初めて目にした母船の内部は、まさに想像を超えた世界でした。

紹介が遅れましたが、今回視察させていただいた母船は、Umios社さん(旧マルハニチロ社)が出資している「エクセレンス号(EXCELLENCE)」です。

ちなみに私たちがお邪魔したのは、一度漁と加工を終えて着岸しているタイミングでした。ですから当然、スケソウダラを加工している最中の様子を見ることはできません。すでに加工を終えて冷凍状態にしたすり身やフィレを下ろし、次の漁に向けて準備をしている、そんな束の間の時間だったのです。

船内では、実際にこの船で活躍されているUmios社所属の日本人スタッフの方に、端から端まで非常に丁寧に説明していただきながら視察することができました。

エクセレンス号は、グレードの高いSAやFA(SAはすり身の等級で最上級にあたります)をメインに製造している母船です。魚体や条件によってはAも作りますし、もちろんフィレも作っています。最上級のすり身は、価格帯によっては使いたくても使えない、そんな貴重な原料です。それが、こうしてはるかベーリング海の洋上で生み出されているのだと思うと、感慨深いものがありました。

漁を終えて機械類は洗浄された後とはいえ、船内に入って感じたのは、機械が非常にキレイだということ。これは、前回のユニシー社さんでも同じように感じたことでした。

私はこれまで、日本国内はもちろん、東南アジアのすり身工場まで、様々な現場を見てきました。その上で申し上げると、ダッチハーバーで見る製造設備は、非常によくメンテナンスされていて綺麗だ、という印象を持ちました。

実は私、理系人間でもあり、機械好きということもあって、こういうところについ目が向いてしまうのです。機械を丁寧に、キレイに使うということは、良い製品を作る上で非常に大事なこと。そしてそれは、作業者が働く環境についても同じです。そういう意味で、視察初日から、衛生面も含めて努力を重ねている姿を目の当たりにして、私は素直に感動しました。

もちろん、人件費の高騰、エネルギーの高騰と、あらゆるコストが上がっているのはどこも同じです。それを踏まえて、効率も非常によく考えられていました。IT化もかなり進んでおり、魚体に応じて臨機応変に設定を変えるなど、洋上でも柔軟な対応ができる体制が整っていたのが印象的でした。

船内に取り込んだスケソウダラの一時保管における温度管理も、細かく実施されているのが見て取れました。そして、1ロットごとに重量を計り、混獲率などを厳しくチェックする体制。前回、陸上のユニシー社さんで見た管理を、この洋上でもまったく同じように徹底しているのだと実感しました。

母船や工船は、一度漁に出ると、しばらく陸には戻れない厳しい環境です。それでも、船内で出会った乗組員の皆さんの表情は、どこか安堵感というか、達成感のある良い表情をされていました。シーズン途中の、束の間のひとときだったのかもしれません。そんな貴重なタイミングで視察をさせていただいたことに、心から感謝しています。

私にとっては、ダッチハーバー初日は到着からそのまま視察へと続くタイトなスケジュールと行動の中で、驚きと感動の連続でした。

受け入れてくださった皆さんへの感謝はもちろんのこと、裏で、変更に次ぐ変更となったスケジュールを上手く段取りし、調整してくださったASMI(アラスカシーフードマーケティング協会)の皆さんにも、感謝しかありません。

なお、船内は基本的に写真撮影ができませんので、今回は外部からの写真ばかりとなりました。

エクセレンス号の最後部からキャッチャーボートを撮影。

波もあり船体も揺れるベーリング海の大海原の洋上で、網の引渡し作業が行われるのは大変危険が伴うというのは想像できる。

その作業を見守る星条旗。